オウンドメディアの運用代行を検討して数社から見積もりを取ったら、月額が数倍も違っていた。高いほうに何が含まれているのか、安いほうで足りるのかを社内で説明できず、判断が止まっている。
運用代行の発注では、よくある迷いです。
月額の差の多くは、委託する業務の範囲と、毎月受け取る成果物、そして契約後も社内に残る作業の違いによるものです。同じ「運用代行」という名前でも、記事を納品するだけの契約と、企画から分析まで担う契約では中身がまったく違います。
この記事では、運用代行の費用に含まれる業務を整理し、各社が公開している月額の相場と、委託範囲のパターンごとの外注先と社内の分担を比べます。見積もりを月次の成果物で並べる記入例や、契約前に確認したい条件も紹介します。
オウンドメディア運用代行の費用に含まれる5つの業務

運用代行の見積もりを読むときは、金額より先に、どの業務が含まれているかを確かめます。業務は大きく分けて、企画とキーワード設計、記事制作、編集と進行管理、入稿とサイトの管理、分析・レポートと改善提案の5つです。
見積書に業務名だけが並んでいる場合は、毎月どんな成果物を受け取れるのかを一緒に確認してください。
業務 | 毎月受け取る成果物の例 | 見積もりで確認すること |
|---|---|---|
企画とキーワード設計 | 翌月以降の記事テーマとキーワードの一覧 | 誰がテーマを提案し、誰が決めるか |
記事制作 | 構成案と原稿 | 月の本数、文字数、取材や画像の有無 |
編集と進行管理 | 編集済みの原稿、進行表 | 執筆者以外が読み直すか、締め切りを誰が管理するか |
入稿とサイトの管理 | CMSに入った記事、公開前の確認結果 | 入稿と表示確認を含むか |
分析・レポートと改善提案 | 月次レポート、リライト候補の一覧 | 数字の報告だけか、次の施策の提案まで含むか |
企画とキーワード設計
企画とキーワード設計は、どの読者に向けて、どのテーマの記事を作るかを決める業務です。見積もりに「企画」と書かれていても、外注先がキーワードを調べて候補を出すのか、社内が決めたテーマを受け取るだけなのかで、作業量は大きく変わります。
確認したいのは、毎月の記事テーマを誰が提案し、誰が承認するかです。外注先が提案する契約なら、提案の根拠として検索の数字や想定読者まで受け取れるかも聞いておきます。
なお、検索語の選び方そのものを社内で見直したい場合は、以下の記事が参考になります。
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記事制作
記事制作は、構成案を作り、原稿を書く業務です。運用代行の見積もりでは、月の本数と1本あたりの文字数の目安で金額が決まっていることが多く、取材や図解、画像の作成は別料金になっている場合があります。
月額の中に何本分が含まれ、1本あたりにどの工程が入っているかを書き出しておくと、他社の見積もりと比べやすくなります。構成案を本文の前に確認できるかも、このときに聞いておきましょう。
編集と進行管理
編集は、執筆者とは別の人が原稿を読み直し、検索意図への答え方や事実、表記を直す業務です。進行管理は、テーマ決めから公開までの締め切りを管理し、ライターや社内の確認者とのやり取りをまとめる業務です。
どちらも成果物として目に見えにくく、見積書では一行で済まされることが少なくありません。たとえば複数のライターに月4本を頼む場合でも、締め切りの連絡、構成の差し戻し、社内確認の催促といったやり取りが毎週のように生まれます。
編集と進行管理が含まれない契約では、その役割を社内の担当者が担うことになります。
入稿とサイトの管理
入稿は、原稿と画像をCMSに入れ、公開前の表示を確認する業務です。本数が少ないうちは社内で対応できても、月の本数が増えると担当者の時間が足りなくなりがちです。
入稿を任せる場合は、外注先にCMSのどの権限を渡すかと、公開ボタンを誰が押すかを決めておきます。サイトの改修やプラグインの管理まで含むかどうかも、契約によって異なります。
分析・レポートと改善提案
分析・レポートは、検索順位や流入、問い合わせなどの数字を毎月まとめる業務です。同じ「月次レポート」でも、数字の一覧を渡すだけの契約と、数字の理由を説明して翌月に直す記事まで提案する契約があります。
レポートの見本を事前に見せてもらうと、毎月何を受け取れるかを具体的に比べられます。提案の中にリライト候補が入るなら、選んだ理由まで書かれているかも確認してください。
なお、公開済みの記事のどれから直すかの判断基準を知りたい場合は、以下の記事が参考になります。
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リライトする記事の選び方は?優先順位の考え方と改善策を解説
委託範囲で変わる3つの依頼パターン

5つの業務のうち、どこまでを外注先に任せるかで、月額と社内に残る作業の量が決まります。依頼の形は、記事制作を中心に任せるパターン、編集と進行まで任せるパターン、企画から分析まで任せるパターンの3つに分けると比べやすくなります。

パターン | 外注先が担う業務 | 社内に残る業務 | 月次で受け取るもの | 向いている状況 |
|---|---|---|---|---|
記事制作中心 | 構成と執筆 | 企画、編集、入稿、分析 | 原稿 | 社内に編集と分析の担当者がいる |
制作+編集・進行 | 構成、執筆、編集、進行管理、入稿 | 企画の承認、分析 | 編集済みの原稿、進行表 | テーマは社内で決められるが、制作の手が足りない |
企画から分析まで | 5つの業務すべて | 方針の承認、商材の確認、公開判断 | 記事テーマの提案、原稿、月次レポート、改善提案 | 運用を担える担当者が社内にいない |
任せる範囲が広がるほど、月額の相場も高くなる傾向です。
以下は、運用代行を手がける各社が公開している目安を、2026年10月2日時点で突き合わせたものです。各社の区分はこの記事の3パターンと完全には一致しないため、手元の見積もりを読むときの物差しとして使ってください。
依頼の範囲 | 月額の目安 | 含まれる業務の例 |
|---|---|---|
記事制作のみ | 月10万〜30万円 | 構成、執筆、校正。月4〜8本程度 |
記事制作に企画・分析を加える | 月30万〜60万円 | キーワード設計、効果測定、改善提案 |
サイトの運用まで含めて任せる | 月50万〜100万円以上 | CMSの管理、サイトの改善まで |
記事1本あたりでは3万〜10万円を目安とする会社があり、メディアの立ち上げを一緒に頼む場合は、初期費用が別に数十万〜数百万円かかるとする会社もあります。
たとえば月4本の記事制作に月次レポートを加えて月30万円の見積もりなら、表の1段目と2段目の境目にあたります。その場合は、レポートに改善提案まで含まれるかを確かめると、どちらの段に近い契約かが分かります(金額は説明のための仮の例)。
参考:オウンドメディア運用代行とは?費用相場・選び方・失敗しない依頼の流れを解説 | 株式会社Bridge
参考:オウンドメディア運用代行の費用相場|依頼範囲別の料金内訳と費用対効果を高めるポイントを解説 | マイセレのマーケティングコラム
参考:オウンドメディアの立ち上げ・運用代行にかかる費用は?相場や費用対効果を解説 | タクウィル
記事制作を中心に任せる
外注先に構成と執筆を任せ、企画、編集、入稿、分析を社内で行う形です。月額は3つのパターンの中で最も抑えやすい一方、社内に編集と分析ができる人がいることが前提になります。
担当者が他の業務と兼任している場合、原稿の確認や入稿が後回しになり、公開本数が予定より減ることがあります。このパターンを選ぶときは、社内の担当者が毎月どれだけの時間を使えるかを先に見積もってください。
制作に加えて編集と進行も任せる
記事のテーマは社内で決め、構成から編集、入稿までを外注先に任せる形です。社内の作業は、テーマの承認と原稿の最終確認、数字の振り返りに絞られます。
テーマを決める力は社内にあるのに、制作の手が足りない企業で選ばれやすい形です。分析を社内に残すため、どの記事を直すかの判断は自社で行います。
企画から分析まで任せる
キーワード設計から記事制作、入稿、月次の分析と改善提案までを外注先に任せる形です。月額は高くなりますが、運用を担える担当者が社内にいない企業でも、記事の公開と見直しを続けられます。
すべてを任せる場合でも、方針の承認、商材の情報、公開の判断は社内の仕事です。外注先からの提案を誰が受け取り、いつまでに返事をするかを決めておかないと、提案があっても実行されないまま月が過ぎていきます。
見積もりに出にくい3つの社内工数

運用代行の費用を比べるときは、外注先に払う金額に加えて、社内で使う時間も費用として数えます。見積書には載らないものの、どのパターンでも社内に残りやすいのは、商材と事実の確認、原稿の確認と差し戻し、公開の判断と社内調整の3つです。
商材と事実の確認
BtoBの記事では、自社の製品やサービスの説明、導入の条件、事例の扱いを外注先だけでは判断できません。原稿の中の商材に関する記述は、最終的に社内の誰かが確かめることになります。
たとえば原稿に「導入まで最短2週間」と書かれていれば、その条件が自社の実際の導入手順と合っているかを、営業や導入の担当者に確認します。
営業や開発の担当者に確認を頼む場合、その人の時間も社内工数の一部です。確認者が忙しい時期には公開が遅れるため、確認にかかる日数も進行表に入れておきましょう。
原稿の確認と差し戻し
外注先から届いた原稿を読み、直してほしい点を伝える作業です。編集が含まれない契約では、社内の担当者が編集者の役割を担うため、1本あたりの確認時間が長くなります。
差し戻しが何度も続くなら、発注時に渡した情報や構成の確認が足りていないのかもしれません。確認の観点をあらかじめ決めておくと、指摘の内容が担当者によってぶれにくくなります。
なお、納品された原稿をどの観点で確認すればよいかを整理したい場合は、以下の記事が参考になります。
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外注したSEO記事の品質チェック|発注・構成・納品で確認すること
公開の判断と社内調整
記事を公開してよいかを決め、必要に応じて上長や関係部署の了承を取る作業です。表現の確認が法務や広報に回る企業では、この工程に数日かかることもあります。
外注先にすべてを任せる契約でも、公開の判断は社内に残ります。誰が最終的に公開を決めるのかを、契約前に社内で決めておいてください。
社内に残す業務と外注する業務を分ける3つの基準

どの業務を外注するかは、月額の安さより、社内で続けられるかどうかで決めます。判断の基準は、社内にしかない情報を扱うか、毎月の作業量が社内で回るか、方針を決める人が社内にいるかの3つです。
社内にしかない情報を扱うか
顧客から実際に受けた質問、営業の現場で聞いた導入の決め手、公開できる事例は、社内にしかない情報です。こうした情報を使う業務は、外注しても社内からの情報提供が欠かせません。
一方で、検索の数字を調べる、構成を組み立てる、原稿を書き整えるといった作業は、情報さえ渡せば外注先が担えます。社内の担当者は情報を集めて渡す役に回り、手を動かす作業を外注すると、分担がはっきりします。
毎月の作業量が社内で回るか
必要な作業時間を見積もるには、まず月に何本の記事を公開したいかを決めてください。社内の担当者が他の業務と兼任しているなら、外注を検討する順番は、作業量が担当者の使える時間を超えた業務からです。
たとえば構成と執筆は回っていても、入稿と表示の確認で毎月の予定が遅れているなら、入稿だけを外注先に任せる方法もあります。全部をまとめて任せる前に、どの工程で予定が止まっているかを確かめてください。
方針を決める人が社内にいるか
どの読者に向けて、どのテーマを優先するかを決める人が社内にいない場合、制作だけを外注しても記事の方向がそろいません。この場合は、企画やキーワード設計から外注先と一緒に進める形を選びます。
方針を決める人がいる企業なら、企画の承認は社内に残し、提案と制作を外注する形も取れます。外注先の提案をそのまま通すのではなく、自社の事業に合うかを判断する役は社内に置いておきましょう。
なお、SEOの業務全体のどこを外に任せるかから検討したい場合は、以下の記事が参考になります。
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月次の成果物で見積もりを比べる3つの手順

月額の数字だけを並べても、どちらの見積もりが自社に合うかは分かりません。毎月受け取る成果物を書き出し、社内に残る時間を足し、翌月の行動につながるかを確かめる、という順に比べると判断しやすくなります。
以下は、2社の見積もりを並べた記入例です。会社名、金額、時間はすべて説明のための仮の例です。
比べる項目 | A社(仮の例) | B社(仮の例) |
|---|---|---|
月額 | 25万円 | 40万円 |
記事 | 月4本の原稿 | 月4本の原稿を編集・入稿まで |
企画 | 社内で決める | 翌月分のテーマを提案 |
月次レポート | 数字の一覧 | 数字の理由とリライト候補 |
社内に残る作業 | 編集、入稿、分析 | テーマの承認、商材の確認、公開判断 |
社内の時間(月) | 約30時間 | 約8時間 |
毎月受け取る成果物を書き出す
見積書の業務名を、毎月手元に届くものに書き換えます。「SEOコンサルティング」と書かれていたら、それが月1回の打ち合わせなのか、テーマの一覧なのか、レポートなのかを外注先に聞いて記入してください。
成果物で書き出すと、片方の見積もりにしか含まれていない業務がはっきりします。記入例では、編集・入稿とテーマの提案を含んでいるのはB社だけです。
社内に残る時間を足す
次に、成果物に含まれない業務を社内で行う時間を見積もります。編集、入稿、分析をすべて社内で行うなら、その時間を担当者が本当に確保できるかを確かめてください。
記入例のA社は月額が安い一方、社内に月30時間ほどの作業が残る想定です。担当者の時間を費用として考えると、2社の差は月額の差ほど大きくない場合があります。
翌月の行動につながるかを確かめる
最後に、受け取る成果物を使って翌月に何を決められるかを考えてみてください。数字の一覧だけでは、どの記事を直すか、次に何を書くかを社内で考える必要があります。
数字の理由とリライト候補まで受け取れる契約なら、社内で決めるのは提案を承認するかどうかだけです。どちらが合うかは、社内に分析を読める担当者がいるかどうかで変わります。
契約前に確認したい3つの条件

運用代行は数か月から年単位で続く契約になることが多いため、始めてから条件の食い違いに気づくと、修正に時間がかかります。月の本数と繰り越しの扱い、契約期間と解約の条件、アカウントと成果物の引き渡しの3つは、契約書や発注書など、あとから確認できる形で残しておきましょう。
月の本数と繰り越しの扱い
社内の確認が遅れて、月の本数を公開しきれないことがあります。その場合に翌月へ繰り越せるのか、その月の分として消化されるのかを決めておきます。
あわせて、本数を途中で増やしたり減らしたりできるか、取材や図解などの追加作業をどの単価で頼めるかも確認してください。
契約期間と解約の条件
最低契約期間がある場合は、その期間と、解約を申し出る期限を確かめてください。SEOの記事は公開から検索結果に表示されるまでに時間がかかることがあり、数か月では成果を判断しきれない場合もあります。
契約期間の途中で見直す時期を決めておくと、続けるかどうかを数字で話し合えます。見直しの時期に何を判断材料にするかも、最初に外注先とそろえておきましょう。
アカウントと成果物の引き渡し
CMS、Googleアナリティクス、Search Consoleなどのアカウントは、自社名義で作り、外注先には必要な権限だけを渡すのが安全です。外注先の名義でアカウントを作ると、契約が終わったときにデータを引き継げなくなるおそれがあります。
原稿、画像、キーワードの一覧、レポートなどの成果物を、契約終了後も自社で使えるかも確認します。画像の利用条件や、外注先が作った資料の扱いは、契約書で明記しておきましょう。
オウンドメディア運用代行の費用でよくある3つの質問

最後に、運用代行の費用について、発注を検討している担当者がよく迷う点に答えます。費用相場、記事制作代行との違い、契約途中の範囲変更の3つです。
Q. オウンドメディア運用代行の費用相場はいくらですか?
各社が公開している目安は、記事制作のみで月10万〜30万円、企画や分析を加えると月30万〜60万円、サイトの運用まで含めると月50万〜100万円以上となっています。
幅が大きいのは、記事の納品だけの契約と、企画から分析まで含む契約が同じ「運用代行」として並んでいるためです。相場の数字だけで判断せず、手元の見積もりにどの業務と成果物が含まれるかを確認して比べてください。
Q. 記事制作代行と運用代行は何が違いますか?
記事制作代行は、記事を1本ずつ作って納品する依頼です。運用代行は、記事制作に加えて、企画、編集と進行管理、入稿、分析と改善提案など、メディアを続けるための業務を月単位で任せる依頼を指すことが多くあります。
ただし範囲は会社ごとに違うため、名前で判断せず、含まれる業務を確認してください。
Q. 契約の途中で委託範囲を変えられますか?
変えられるかどうかは契約によって異なります。最初は記事制作を中心に任せ、社内の担当者の時間が足りなくなったら編集や入稿を追加する、といった進め方を考えているなら、範囲を変える手続きと料金の変わり方を契約前に確認しておきましょう。
まとめ|運用代行の費用は委託範囲と社内に残る作業で比べよう

オウンドメディア運用代行の費用は、月額だけでは比べられません。含まれる業務の範囲、毎月受け取る成果物、社内に残る作業によって、同じ金額でも中身が大きく変わるためです。
まずは手元の見積もりを、企画とキーワード設計、記事制作、編集と進行管理、入稿とサイトの管理、分析・レポートと改善提案の5つの業務で並べてみてください。そのうえで社内に残る時間を足し、契約前に本数、期間、アカウントの条件を確かめると、月額の差を社内で説明しやすくなります。



