SEOを社内で進めたいが、担当者に知見がなく、どの業務から手を付ければよいか決められない。外注先に任せてきた費用を見直し、社内で回せるようにしたいが、どこまで外に頼るべきか分からない。
インハウスSEOを考え始めると、まずこうした迷いが出てきます。
すべての業務を一度に内製する必要はありません。キーワード設計は外注先の力を借りたまま、記事を作る工程から社内に移していくと、無理なく進められます。
この記事では、キーワード設計・構成・執筆・編集・入稿・分析の6つの業務について、内製と外注の分け方を表にまとめました。最初につまずく点、外注先から知見を引き取る方法、内製化に切り替える目安もあわせて確認していきましょう。
インハウスSEOとは?SEO内製化で社内が担う範囲

インハウスSEOは、SEOの業務を社内の担当者が進める体制のことです。言葉の意味と社内が担う業務の範囲を確かめたうえで、すべてを内製しない進め方も選べることを説明します。
インハウスSEOとSEO内製化の意味
インハウスSEOとは、外部に任せていたSEOの業務を、社内の担当者やチームが担う進め方です。「SEO内製化」も同じ意味で使われます。
BtoB企業のオウンドメディアで記事を中心にSEOを進める場合、社内で担う業務は大きく6つに分かれます。キーワード設計、構成、執筆、編集、入稿、公開後の分析です。
範囲は記事を書く作業だけにとどまりません。どのキーワードで記事を作るかを決め、公開後の数字を見て次に直す記事を決めるところまでが含まれます。
すべてを内製しなくてもよい
インハウスSEOと聞くと、外注をやめて社内だけで完結させる姿を思い浮かべるかもしれません。実際には、一部の業務を外注先に残し、残りを社内で担う部分的な内製も選べます。
たとえば、キーワード設計は外注先に任せ、構成から入稿までを社内で行う形です。どこまで内製するかは、担当者の知見とSEOに割ける時間で決まります。
なお、そもそもSEOを外注するかどうかから判断したい場合は、以下の記事が参考になります。
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SEOは外注すべき?費用相場・依頼できる業務・失敗しない選び方
インハウスSEOで最初につまずく2つのこと

社内でSEOを始めた会社が最初につまずくのは、キーワード設計と構成づくりだと考えています。どちらも記事を書く前の工程で、ここが弱いと本文をいくら整えても順位や問い合わせにつながりにくくなります。
成果につながるキーワード設計ができない
最初に困るのは、どのキーワードで記事を作れば自社サービスの成果につながるのかを決める段階です。よく使われるやり方では、検索上位にいる競合メディアがどのキーワードで記事を書いているかを調べ、その中から自社に合うものを整理します。
難しいのは、記事を1本ずつではなく記事群で考え、競合に勝てるように設計する必要がある点です。関連するキーワードをまとめ、どの記事でどの検索意図に答えるかを割り振るには、SEOの知識が要ります。
たとえば、自社の製品名や機能名に近い言葉だけで記事を作ると、検索する人がほとんどいない記事が並ぶことがあります。反対に検索数の多い言葉だけを選ぶと、読者が自社の顧客と重ならず、問い合わせにはつながりません。
なお、顧客の課題からキーワードを選ぶ手順を確かめたい場合は、以下の記事が参考になります。
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BtoBのSEOキーワード選定|顧客の課題から決める5ステップ
上位に表示される構成が作れない
書くキーワードが決まったあとにつまずくのが、どんな構成なら検索上位に入るかという点です。最近はAIで見出し構成を作れますが、AIが作った構成だけでは上位に上がりづらいと実務では判断しています。
構成は、検索上位の記事を開いて、どんな内容が求められているかという検索意図を分析したうえで作ります。たとえば上位の記事がどれも比較表と選ぶ基準を載せているなら、読者は候補を比べる材料を探していると読み取れます(仮の例)。
AIの構成を下書きに使う場合も、上位記事と見比べて足りない論点を補う作業は担当者に残ります。
内製と外注の分担表|業務ごとの分け方

6つの業務を、内製・外注・組み合わせのどれで進めるかを表にしました。実務では、知識が要るキーワード設計は外注先と組み合わせたまま残し、記事を作る工程から内製に移すのが進めやすいと考えています。
業務 | 分け方の目安 | 社内が担うこと | 外注先に任せやすいこと |
|---|---|---|---|
キーワード設計 | 組み合わせ(外注を残す) | 自社サービスと顧客の情報を渡す、候補を承認する、設計の観点を聞き取る | 競合上位メディアの調査、記事群の設計 |
構成 | 組み合わせから内製へ | 構成を承認する、慣れたら社内で作る | 上位記事の検索意図の分析、構成の確認 |
執筆 | 内製に移しやすい | 製品や顧客を知る社員が書く | 本数が多い時期の執筆 |
編集 | 組み合わせ | 自社の表現と事実の確認 | 検索意図への答え方と論理の確認 |
入稿 | 内製 | CMSへの登録、公開の判断 | 画像や図の作成 |
分析 | 組み合わせ | 数字を見て次に直す記事や書く記事を決める | 数字の集計と改善案の提案 |

表の分け方は目安で、社内の人数や担当者の経験によって変わります。以下、キーワード設計を外注に残す理由、構成・執筆・編集を内製に移しやすい理由、入稿と分析の判断を社内に置く理由の順に見ていきましょう。
キーワード設計は外注を残す
キーワード設計は、内製化を進める段階でも外注先と組み合わせたまま残すのがよいと考えています。記事群で勝てる設計には知識が必要で、社内で一から身につけるには時間がかかるためです。
ただし、設計の結果だけを受け取って任せきりにはしません。なぜそのキーワードを選んだのかという観点を聞き取り、社内に残していきます。
具体的な聞き方は次の章で説明します。
構成・執筆・編集は内製に移しやすい
構成・執筆・編集は、キーワードが決まっていれば社内で担いやすい工程です。BtoBの記事では、製品の仕組みや顧客の課題を知る社員が書くと、外部のライターが調べただけでは書けない説明を入れられます。
たとえば、導入前によく受ける質問や、商談で比べられる他の手段は、営業や導入支援の担当者がいちばん詳しく知っています。こうした情報を記事に入れやすいのは、社内で書く強みです。
ただし構成は上位記事の分析が要るため、最初は外注先に確認してもらいながら作ると安心です。編集も、自社の表現と事実の確認は社内、検索意図への答え方の確認は外注先、というように分けられます。
入稿と分析の判断は社内に置く
CMSへの入稿と公開の判断は、社内で担うのが自然です。公開してよいか、製品ページへの導線をどこに置くかは、自社のサイトを管理する担当者が決めることだからです。
分析では、数字の集計や改善案づくりを外注先に頼めます。そのうえで、どの記事を直し、次にどのキーワードで書くかを決めるのは社内の担当者です。
たとえば月次の報告で「表示回数は増えたが、問い合わせは増えていない」と分かったとします。記事からサービスページへの導線を直すのか、キーワードを見直すのかを決めるには、自社の営業状況を知る社内の判断が欠かせません。
外注先からSEOの知見を引き取る3つの方法

内製化を進めるには、外注先が持つ知見を社内に移す仕組みが要ります。実務では、定例ミーティングでの聞き取り、業務の進め方を確認できる流れ、内製化したい範囲の事前の相談、の3つで進めるのがよいと考えています。
キーワード設計の観点を定例ミーティングで聞く
キーワード設計を外注していても、結果の一覧を受け取るだけでは社内に知見が残りません。定例ミーティングや勉強会の場で、どんな観点で設計したのかを制作会社に聞き、議事録に残していきます。
聞き取りでは、たとえば次のような質問が使えます(質問文は仮の例です)。
聞くこと | 質問文の例 |
|---|---|
選んだ理由 | このキーワードを選んだ理由と、外した候補の理由を教えてください |
競合の見方 | 上位にいる競合メディアの、どの記事群を参考にしましたか |
記事どうしの関係 | この記事と同じテーマの別の記事は、どの検索意図で書き分けていますか |
書く順番 | 記事を作る順番は、何を基準に決めましたか |
答えを議事録にためていくと、次の設計を社内で考えるときの手がかりになります。
業務の進め方をその都度確認できる流れを作る
見出し構成をどう作っているのかなど、一つひとつの業務の進め方を、その都度確認できる流れを用意しておきます。たとえば構成案を受け取るときに、参考にした上位記事と、入れた論点・外した論点を添えてもらうと決めておく方法です(仮の例)。
質問できる場がないと、社内の担当者は納品物の形だけをまねることになります。進め方の理由まで聞いておけば、外注の範囲を減らしたあとも、同じ判断を社内で再現しやすくなります。
内製化したい範囲を外注先に先に伝える
将来どの業務を社内に移したいかは、早めに外注先へ相談しておきましょう。先に伝えておくと、内製化に必要な知識を外注先が教えてくれる可能性があります。
制作会社やフリーランスの中には、内製化支援をパッケージにして提供しているところもあります。社内に知見を残すことが目的なら、最初からそうした形で依頼するのも一つの選び方です。
インハウスSEOを進める3つの段階

内製化は、一度に切り替えるより段階を分けて進めたほうが手戻りが少なくなります。Shiroworks(シロワークス)では、外注先と進めて知見をためる段階、記事を作る工程から内製に移す段階、キーワード設計は外注・記事制作は内製で回す段階の3つで考えています。
段階 | 社内が担うこと | 外注先が担うこと | 次に進む目安 |
|---|---|---|---|
知見をためる | 商材情報の提供、構成の承認、設計の観点の聞き取り | キーワード設計、構成、執筆、編集 | 設計と構成の考え方を社内で説明できる |
記事を作る工程から内製に移す | 一部の記事の構成・執筆・編集 | キーワード設計、社内で作った構成の確認 | 社内で作った記事を外注先と同じ基準で直せる |
分担して回す | 構成・執筆・編集・入稿、分析の判断 | キーワード設計 | 分担を定期的に見直す |

外注先と設計・制作を進めて知見をためる
最初の段階では、キーワード設計から記事制作までを外注先と一緒に進めます。社内の担当者は商材の情報を渡して構成を承認しながら、前の章の方法で設計と制作の考え方を聞き取ります。
この段階では、記事を増やすことと同じくらい、SEOの進め方を社内で説明できるだけの知見をためることを重視します。たとえば構成案のどこを見て承認したかを毎回記録しておくと、次の段階で社内の判断基準として使えます。
なお、外注先への依頼を発注前の準備から順に確かめたい場合は、以下の記事が参考になります。
▼あわせて読みたい
記事制作を外注する流れ|発注前の準備から納品・公開までの進め方
記事を作る工程から内製に移す
知見がたまってきたら、記事を作る工程だけを社内で試します。キーワード設計は外注先に任せたまま、構成・執筆・編集を社内で担い、構成は外注先に確認してもらう形です。
たとえば月4本のうち1本を社内で作り、外注先の記事と同じ基準で見比べる方法があります(本数は仮の例)。社内の記事の弱い点が分かれば、次に外注先へ聞くことも決まります。
なお、記事制作の工程全体を見渡してから社内に移す範囲を決めたい場合は、以下の記事が参考になります。
▼あわせて読みたい
BtoBのSEO記事制作ガイド|企画・構成・執筆・編集・公開後の改善まで
キーワード設計は外注、記事制作は内製で回す
最後の段階では、キーワード設計は外注、記事の制作は内製という分担で継続して回します。実務では、この分け方が社内でできるようになったときが、内製化を判断するタイミングだと考えています。
外注先に頼む範囲は、キーワード設計に加えて、社内で作った構成の確認まで広げてもかまいません。外注の範囲を小さくしても設計の意図を聞ける関係を続けておくと、検索結果が変わったときにも相談しやすくなります。
内製化に切り替える目安となる3つの状態

内製化に切り替える目安は、SEOの進め方の知見が社内にたまった状態だと考えています。ただ「知見がたまった」だけでは判断しにくいため、社内で確かめられる3つの状態に分けました。
SEOの進め方を社内で説明できる
外注先が設計したキーワードや構成について、なぜそうしたのかを社内の担当者が説明できる状態です。上司や営業部門に聞かれたときに、外注先の資料を見ずに答えられるかで確かめられます。
たとえば「この記事はなぜこのキーワードなのか」「なぜ比較表を入れたのか」と聞かれたとします。そのとき、検索意図と自社サービスとの関係から理由を答えられるかどうかが判断の分かれ目です。
上位記事と比べて構成を直せる
AIや外注先が作った構成を、検索上位の記事と見比べて直せる状態です。足りない論点や、検索意図からずれた見出しに社内で気づけるかを見ます。
確かめる方法の一つは、外注先の構成案に社内で修正案を出し、外注先からの指摘と比べることです。指摘の多くを社内で先に挙げられるようになれば、記事を作る工程を社内に移す目安になります。
キーワード設計と記事制作を分けて依頼できる
キーワード設計は外注、記事の制作は内製という分け方を、社内で決めて外注先に依頼できる状態です。何を外注先に頼み、何を社内で担うかを担当者が言葉にできれば、分担を変えても進行が止まりにくくなります。
反対に、どの業務を外に出しているかを社内で整理できていないうちは、外注の範囲を減らすと、誰も担わない業務が出てきやすくなります。
インハウスSEOでよくある3つの質問

内製化を検討する担当者が迷いやすいのは、AIの使い方、外注先との契約、最初に用意するツールの3つです。
Q. AIを使えば外注せずに内製できますか?
AIは構成の下書きや文章づくりに使えますが、AIだけで外注先の役割をすべて置き換えるのは難しいと考えています。AIが作った構成だけでは上位に上がりづらく、上位記事から検索意図を分析して補う作業が残るためです。
Googleは、コンテンツの作り方ではなく品質を評価するという立場を示しています。検索順位の操作を主な目的とした自動生成はスパムポリシー違反にあたるため、AIを使う場合も社内で内容を確かめる体制が要ります。
参考:AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス | Google 検索セントラル
Q. 内製化したら外注先との契約は終えるべきですか?
終える必要はありません。キーワード設計は外注のまま残し、記事の制作を内製にするように、業務ごとに分担を変える形を勧めています。
契約の範囲を変えるときは、設計の意図を聞ける定例ミーティングを残せるかも確認しておきましょう。
Q. インハウスSEOで最初に用意するツールは何ですか?
まずはGoogle Search Consoleを設定しておきましょう。Googleが無料で提供するツールで、検索結果に自社サイトが表示された回数やクリックされた回数、掲載順位を確認できます。
競合メディアの調査では有料のSEOツールも使われますが、キーワード設計を外注している段階なら、外注先の調査結果を共有してもらう方法もあります。
参考:Search Console の概要 | Search Console ヘルプ
まとめ|インハウスSEOは分担を決めて段階的に進めよう

インハウスSEOは、すべての業務を一度に社内へ移す必要はありません。最初につまずきやすいキーワード設計は外注先と組み合わせたまま残し、記事を作る工程から内製に移すと進めやすくなります。
外注している間も、定例ミーティングや勉強会で設計の観点を聞き取り、業務の進め方を確認できる流れを作っておきましょう。まずはこの記事の分担表を使って、6つの業務をいま誰が担っているかを書き出してみてください。



